Tune 8 ホームへ ★ AFNラジオのプレイリストから最新の洋楽をいち早く紹介!
+
★ ロック、ポップ、ソウル、オルタナ、メタルからカントリーまで

◆  Special  特別編  -  ライブ・レポート  ◆

TRAIN 初来日公演レポート

2010年6月16日(水) 会場:duo MUSIC EXCHANGE(東京・渋谷)  *セットリストは文中、紫文字で表示

トレイン - 列車という名を持つそのバンドはそれから感じる重量感とは裏腹に、ライブでの最初の曲「パラシュート」のごとく軽やかに、日本の聴衆のもとに降りたった。 2010年6月16日のことである。

トレイン 来日公演ポスター

2009年秋に発表されたシングル、「ヘイ、ソウル・シスター」。
その明るく、軽やかなロック・サウンドは世界中を席巻し、各国で大ヒットを記録。私自身、ラジオでこの曲が流れるたびに、青空を突き抜けていくようなファ ルセットのあまりの心地よさについつい感動して、目頭が熱くなって困ったものでした。
そんな折り、とうとう決まった初来日公演。ガラにもなく発売初日に電話をかけまくって手にした整理番号20番台のチケットを握りしめ、私は初夏の蒸し暑い 渋谷で開場を待っていました。
経験上、20番台ならなんとか最前列に行けると知っていたので、そこから見える情景を思い描いてわくわくしながら。

「さあ、歴史の証人になるのだ。かぶりつきでこの目に焼き付けてやる」

さて、予定時刻より30分ちかく待たされた末、ようやく係の人が開場を告げたのですが、そのアナウンスに一瞬、凍りつきま した。
「えー、入場は整理番号の前にAのついた方が先となります」
「えー、ナニそれ」「そんなの聞いてないよ」 ...小さくどよめく無垢な人々。
なんとも不条理で、法的には虚偽表示じゃないか!と叫びたくなりましたが、いかにそれが東京スポーツ(新聞)の見出しのごとく誤解を招くような表現であろ うと(「中沢ゆう子、結婚 」のように最後に小さく「か」をつけるような作戦のこと)、ルールを決めるのはあくまで主 催者なので、我々のような名もなき消費者にはどうすることもできません。

で、Aチケットが40人もいたため、あのサギまがいの強制ワンドリンクも取らずに真っ先にステージ前に行ったものの、「あ こがれの最前列」の夢ははかなく破れてしまいました。
(しかし、Aチケってどんな人たちなんでしょう?クリマンの会員優先か何か?...それにしても、ひどい!)

客層は若者から中年世代まで幅広く、外人多め。中には中学生と思しき女の子2人組なんてのもありました。
前座は男性シンガーによる20分間のステージ。
悪くはなかったけど、正直なところ、前座を立てられるのは迷惑な話です。 スタンディングの場合はその分長く立っていなければならないし、何といっても終演が遅くなるのが困るのです。
さきの中学生などにとっては帰宅が夜遅くなるし、私のように遠方から来る者にとっては帰りの電車が心配になる。 そもそも前座に期待してチケットを買う人は皆無なのだから、全く持って不要だ。主催者はぜひ考えて欲しい。

1. Parachute      / Save Me, San Francisco (2009)  *1

19時35分、蒸気機関車のSEに導かれて、ついにトレイン登場。
ぐわぁ〜ん、というギターの最初の和音が鳴ると、興奮はうねる波のように会場を揺り動かす。 最新アルバム収録のロック・バラード、「パラシュート」だ。
パトリック・モナハン 写真可憐な主旋律と雄大に歌い上げるコーラス部分の積み重ねが徐々に興奮度を高める。
 パトリック・モナハンの歌声はつややかで、4つの楽器を圧倒するかのごとき声量で迫ってくる。すごい!
ブレイクで独唱になると歌のうまさがさらに引き立つ。
みんな曲のうねりに身を任せ、体をゆすってひしめき合う。
私もこぶしを突き上げて歌う。 Running ! ! !
初めてのトレイン体験はなんとも感動的なオープニングとなった。


   *-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
ステージ上は左からスコット・アンダーウッド (Ds.)、ベーシスト(サポート)、ギターまたはキーボード(サポート)、ジミー・スタッフォード(ギター&ウクレレ)、前面にパトリック・モナハン (Vo.)という布陣。
ジミーのギターは f ホール付のテレキャスターが多かった。あとはセミアコ、ウクレレなどを演奏。
   *-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

2. Get To Me   /My Private Nation (2003)  *2

興奮度が高まった後はマイナー・キーのブルースで少し会場を落ち着かせる。 でも、曲中「オー、イェー」のかけ合いなどがあり、後半部分ではかなり盛り上がる。
パットの高音シャウトの技術がものすごい。

3. Meet Virginia   /Train (1998)  *4

Train (1998) CDテ ケテケっとしたギターと共に歌が始まると大盛り上がり。トレインの名を全米に知らしめた大ヒット曲だもの。
途中、アカペラでパットの歌を堪能できるなど、ライブならではの楽しみも。




4. She's On Fire   /Drops Of Jupiter (2001) *3

このノリのよいカントリー・ロックでは、パットが客席の女の子を7人ほどつかまえてステージに上げて She's On Fire とみんなでコーラスやってました。
パットもスーパーマンのロゴ風のトレインTシャツをステージ上で着て、ひとりひとりハグしてあげるなど、サービス精神旺盛です。

   *-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
演奏そのものは、プロのバンドとしては平均的な水準でしょうか。
でも、音の厚みという点では、若干心もとないかな。
すなわち、バッキング・コーラスをつけていたのがギターのジミーとサポートのギタリストの2人だけで、かつ脆弱な印象だったから。
実際、しっかりと歌えるメンバーを多く擁するバンドは音の厚みが格段に違うのです。
(2008年のファイヤーハウスとナイトレンジャーがそうでした!)

しかしながら、トレインはたぐいまれな才能を持つシンガー、パトリック・モナハンが、その素晴らしい声で彼の音楽世界を体現することこそが最重要であるこ とを思えば、それも大きな問題ではないのかもしれない。
   *-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

5. I Got You    /Save Me, San Francisco (2009)  *1

この曲の冒頭、レコードで聴けるイコライジングした声のパートはパットが電気メガホンを使って表現していました。

6. When I Look To The Sky    /My Private Nation (2003)  *2

My Private Nation (2003) CDパットのヴォーカルが圧巻!
「マイクを使わずに歌います」と言ったかと思うと、わずかに鳴らしたキーボードに導かれ、おもむろに生声で歌いだした。
みんな固唾をのんで聞き入る。つややかな、よく通る声。
プロのシンガーとはいえ、よほどの自信がないと絶対できない。
しかもそれまでさんざん歌い、シャウトしてるのに、平然と会場に美声を響き渡らせた。
すごい。
ワン・ヴァース歌ったのちにバンドが入ってそのサウンドに聞き入ると、暗い会場内で青空を想った。

7. Calling All Angels     /My Private Nation (2003)  *2

大ヒットした名曲。個人的には「ヘイ、ソウル・シスター」が出るまではこの曲が最高クラスで好きだったかも。
これまたパットのヴォーカルが雄大で、感動的。     → 一覧ページ

8. Save Me, San Francisco    /Save Me, San Francisco (2009)  *1
9. Words    /Save Me, San Francisco (2009)  *1

Save Me, San Francisco (2009) cd
6. 7. とじっくり感動させた後は新アルバムのタイトル曲で力強いロック 「セイヴ・ミー、サンフランシスコ」 、そして雄大なロック・バラード 「 ワーズ」 。
パットのソウルフルなヴォーカルが素晴らしい。



10. It's About You    /Drops Of Jupiter (2001) *3

なんと、曲の後半のブレイク後にパトリックが客席へダイブ。上手から下手へとみんなで仰向けのパットを運んだ。僕も彼の右 足を持った。
パットがステージに戻り、「オー、イェー」の大合唱。
そしてパットがひと言、「落とさないでくれてありがとう」

11. Marry Me   /Save Me, San Francisco (2009)  *1

新アルバムの美しいラブ・バラードをほぼギター1本で歌うパット。ファルセットの美しさが際立つ。
パトリック・モナハン 写真パットはなんと歌いながら客席前列の人たち一人ひとりと握手をして回る。
(単純に考えても、高度な技術が必要だ)
私も手を差し出す。Hey, Soul Sister , The Truth (KRIS ALLEN ) といった名曲をつむぎだした、その右手とつなぎ合わせた。
話しかけたかったけど歌のじゃまをしたくなかったから、" Thank you " の言葉だけを添えた。

→ The Truth (KRIS ALLEN ) 解説ページ

12. If It's Love    /Save Me, San Francisco (2009)  *1
13. Hey, Soul Sister    /Save Me, San Francisco (2009)  *1

がりっとしたギターのイントロからニューシングルの明るいロック「イフ・イッツ・ラヴ」で盛り上がったあと、ジミーが体に 似つかわしくない小さなウクレレを持ちだすと、会場がざわめきだした。
「ついに、あの曲だ!」
Save Me, San Francisco (2009) cdパットが Heeey heeeey とリード部分を歌いだすと静かな興奮が会場を走る。
演奏が始まってもさほど大騒ぎにならなかったのは、みんながこの曲を大切に思っているから、とは私の考えすぎだろうか。
ひそかに危惧していた、「当のアーティストを差し置いて大合唱」とはならず、みんな体を揺すりながらも固唾をのんで聴き入っていたように感じた。「もった いなくて一緒になんて歌えません」と言ってるみたいに。
もちろん、コーラス部分と Heeey は大合唱。
ジミー・スタッフォード 写真ス キンヘッドのジミーがニコニコ本当に嬉しそうにウクレレを弾いていたのが印象的だった。
パットのきーん、と青空に突き抜けていくような歌唱が会場にこだまする。
楽しい時間をその場に居合わせた全ての人々と共有する幸せをかみしめた。

→ Hey, Soul Sister 解説ページ

<アンコール>

14. Drops Of Jupiter    /Drops Of Jupiter (2001)  *3

Drops Of Jupiter (2001)) cdあまり間をあけずにメンバー登場。
ピアノのイントロが鳴ると大騒ぎ。日本でもトレインの名を知らしめた名曲で、会場は大きく沸いた。
ライブで聴くと後半コーラス部分などはリズムがうねって強烈なノリを生み出し、かなり興奮した。
そして....

15. Dream On  (Aerosmith cover)

ピアノのイントロが鳴った瞬間は冗談かと思った。他人の曲のイントロだけやって客の気を引くなんて、よくあるテだから。
でも、本気だった。
なんと、最後はエアロスミスのヘヴィ・ロック「ドリーム・オン」。パットさん、好きなんですか、コレ....。
しっかし、クライマックスでのファルセットの絶叫はカンペキでした。もしかしたらライブでは本家のスティーヴン・タイラーよりもうまいかも。
パトリック・モナハン、おそるべし。
でもでもでも、最後がこの曲なんて、なんかなあ....。
(20:55 終演)

   *-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
Train 3人の写真トレインはと にかくサービス精神が旺盛でした。
新作が世界的ヒットしてビッグネームなのに日本唯一のライブが即完売どころか「当日券あり」なんて、申し訳なくて後ろめたかったのに。
でも、曲間のMCでパットの
「みんな最高!もっと早く日本に来ればよかった。来れなかったのはスコット (Ds.) の陰謀だったんだよ!」
なんて軽口も飛び出して、終始ごきげんだったのには胸をなでおろしました。

あと、個人的には新アルバム「セイヴ・ミー、サンフランシスコ」の曲 Brick By Brick (ブリック・バイ・ブリック)もライブで聴きたかったかな。エアロなんかよりも、この美しくて感動的なロックを。

卓越した作曲能力と、シンガーとしてのたぐいまれな力量をもつパトリック・モナハン
そしてせつなさを内包した、叙情的で誠実なロックを奏でるトレイン。
これらの相互作用が生み出す力が最高レベルに達したタイミングでの今回の初来日公演はまさに、忘れられない一夜となった。

Save Me, San Francisco (2009) cd*1  (2009年リリース)
セイヴ・ミー、サンフランシスコ
/トレイン

Amazon でCDをみる
My Private Nation (2003) CD*2  (2003年リリース)
My Private Nation
/ Train

Amazon でCDをみる
Drops Of Jupiter (2001)) cd*3  (2001年リリース)
Drops Of Jupiter
/Train

Amazon でCDをみる
Train (1998) CD*4  (1998年リリース)
Train
/ Train

Amazon でCDをみる

お 近くの店舗で受け 取り可能!





セブンネ



ットショッピング


HMVジャパン UKロック  iTunes Music Store(Japan)

アップロード : 2010/07/20   更新  : 2010/07/23

 TOP↑


文章の無断転載を禁ず   Copyright : (C) 2010 Tune 8 , カノウエイト All Rights Reserved.